獣医師採用が年々難しくなっている現実
「求人を出しても応募が来ない」「若手がなかなか定着しない」
動物病院の経営者の方から、そんな声をよく耳にするようになりました。
今、獣医師の採用市場は完全な“売り手市場”。特に若手の獣医師は少なく、条件の良い職場を自由に選べる状況です。
そのため、採用のたびに紹介会社に依頼し、高額な費用をかけてやっと1人確保する……という医院も少なくありません。でも、これは短期的な対処法であり、継続的な採用にはつながりにくいのが現実です。
データで見る獣医師市場の実態
農林水産省の発表している獣医師の需給に関する資料（こちら）を見てもわかるように、獣医師全体の人数は少しずつ増えてはいるものの、その多くが小動物臨床に集中しています。
また、獣医師は都市部に偏在しやすく、地方の動物病院や産業動物・公衆衛生分野では、依然として人材不足が続いています。
さらに、若手獣医師の離職率の高さも問題です。せっかく採用しても、環境が合わなければ早期退職につながってしまい、採用コストが無駄になってしまうケースも。
なぜ採用費がここまで高くなるのか？
多くの動物病院が、獣医師の紹介会社に頼ることが一般的になりつつあります。
しかし、その紹介料は1人あたり100〜200万円超になることも。さらに、採用しても短期間で退職してしまえば、実質的なコストはさらに増加します。
こうした状況では、「採用するたびにお金がかかる」状態になり、経営にも大きな影響を与えてしまいます。
紹介会社に頼らず、採用コストを抑える方法
1. 自社ホームページで魅力を伝える
いま獣医師を目指す学生や若手は、求人媒体よりもまずGoogleで検索して、病院の公式サイトを見る傾向があります。
そこで重要になるのが、採用ページの充実です。
- 院内の雰囲気が伝わる写真
- スタッフインタビューや1日のスケジュール
- 院長の想いや方針
- 実際の労働環境（休み・給与・勉強会など）
これらを丁寧に発信するだけで、「自分に合いそう」と感じてもらえる確率が大きくアップします。
2. 無料・低額の求人媒体を活用する
求人広告にはたくさんの媒体がありますが、高額な成功報酬型でなくても、成果を出せるサービスは増えています。
たとえば、
- 定額制の求人サイト
- 成果報酬なしの比較サイト
- 地域密着型の無料掲載メディア
などを賢く組み合わせることで、コストを抑えながら獣医師にリーチできます。
媒体ごとに特徴があるため、比較サイトで一度整理してみるのが効率的です。
3. インターン・見学制度の導入
学生や若手が、実際に職場を体験できる仕組みがあると、「ここで働いてみたい」という気持ちが育ちやすくなります。
特に、獣医学生にとっては、見学・実習が就職のきっかけになるケースも多いため、早めに関係を築くことが将来的な採用につながります。
4. SNSやブログで日常を発信する
InstagramやX（旧Twitter）を活用して、**「院の日常」や「スタッフの声」**を発信するのも効果的です。
写真や投稿から院内の雰囲気が伝わることで、求人ページだけでは伝えきれない魅力が届きます。
選ばれる病院になるために、今できること
求職者に選ばれる病院になるには、「待遇」だけでなく、以下のようなポイントが重視されます：
- 自分が成長できるか
- 相談しやすい環境か
- チームとして機能しているか
- 長く働けそうな雰囲気があるか
これらをきちんと外部に伝える努力が、今後の採用成功のカギになります。
まとめ：お金より“知恵”で採用を成功させる時代
高額な紹介料を払わずとも、獣医師の採用は可能です。
自社の魅力を正しく伝え、無料〜低コストのサービスをうまく活用することで、継続的に良い人材と出会うことができます。
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