ペット需要の高まりとともに、トリマーの採用や転職も活発化しています。しかし「トリマーのスキルってどう評価すればいいの?」「動物病院とサロン、どっちが合ってる?」と迷う方も多いのではないでしょうか。
今回は、経営者の採用基準にも、トリマーさんのキャリア選びにも役立つ「トリマーのスキル」と「業界構造の特徴」について解説します。あわせて、トリマーの転職市場の現状にも触れていきます。
トリマーに求められる主なスキル
基本的なグルーミング技術
- シャンプー・ブロー
- 爪切り・耳掃除・肛門腺絞り
- 犬種ごとのスタイルカット(プードル、シュナウザーなど)
施術のスピードや丁寧さ、清潔感も大切なポイント。見た目の美しさだけでなく、衛生面・安全面の配慮も含めて評価されます。
動物への対応力
- 怖がりな子や高齢犬への対応
- 威圧感を与えずに接するスキル
- トラブルを予防する判断力
特に近年は高齢犬の来店増加に伴い、「ケアトリミング」への理解や技術も求められる傾向です。
飼い主さんとのコミュニケーション力
トリマーは飼い主との接点も多いため、ヒアリングや提案、仕上がり説明などの接客力も重要。リピートにつながる信頼構築がカギです。
業界構造:病院は床屋、サロンは美容室?
トリマー業界では、「動物病院は床屋」「ペットサロンは美容室」と表現されることがあります。それは、サービスの目的や働き方に違いがあるためです。
【動物病院=床屋】の理由
- カットは機能重視で、衛生管理が主目的
- 高齢犬や持病のある子の施術も多く、獣医師と連携することも
- 医療行為に近い現場での施術スキルが求められる
医療現場で働く以上、冷静な判断力や緊急時対応も視野に入れたスキルが必要です。
【ペットサロン=美容室】の理由
- 飼い主の希望や流行に合わせたスタイル提案が多い
- 美的センスやデザイン力が問われる
- 接客業としての側面が強く、空間づくりや提案力が重要
明るく華やかなサロンで働きたい方には、サロン勤務が向いています。
トリマーの転職市場の現状と今後
トリマーの転職市場は、ここ数年で大きく変化しています。
人材不足が続く業界
現在、トリマー業界では慢性的な人材不足が続いています。ペットブームの影響で需要は高まっている一方、若手の定着率が低く、長く働ける環境が整っていない職場も少なくありません。
そのため、一定のスキルを持つトリマーは転職に非常に有利です。経験年数や得意な犬種、対応できる施術範囲をアピールすれば、希望に合った職場を見つけやすい状況です。
多様化する働き方
近年は、以下のような柔軟な働き方を提案する施設も増えています。
- 時短勤務や週3勤務などの「時短正社員」
- 子育てと両立できる「フレックス制度」
- 独立支援制度つきの職場
これからの転職市場では、「給与」や「勤務地」だけでなく、「働きやすさ」や「やりがい」で職場を選ぶ傾向が強まると考えられます。
経験を活かせる多様な選択肢
経験を積んだトリマーには、以下のようなキャリアパスも広がっています。
- 講師・トリミングスクールのスタッフ
- ペットホテルやカフェ併設型店舗への転職
- 将来的な独立・開業
スキルと経験次第で、現場を離れても長く活躍できる選択肢があるのも、トリマーの魅力です。
採用・転職時のチェックポイント
経営者側のチェックリスト
- 応募者の得意分野(デザイン重視かケア重視か)
- 犬種対応力や経験年数
- チームとの相性や接客スキル
トリマーさん側のチェックリスト
- 自分が得意・好きな施術は何か?
- キャリアアップや独立の意志はあるか?
- 勤務条件やライフスタイルに合っているか?
まとめ:トリマーのキャリアは「スキルの掛け算」
トリマーとして長く活躍するには、技術だけでなく「接客」「対応力」「環境適応力」などの多面的なスキルが求められます。
転職市場は現在、経験者にとって追い風の状況。経営者は「人柄や相性」も重視した採用を。トリマーの方は、自分の強みとライフスタイルに合った職場選びを意識してみてください。